「いやね。猫又ってのは雌が多いからさ。雄の猫又って、あんまり聞かないだろう?」

「そういえば。あれ、じゃあおりんを猫又にしたら、雌になるんですかい?」

「……ふふ。つか、猫又になるのは嫌なんじゃろ?」

 貫七の質問は何故か流し、小薄はおりんに視線を落とす。
 おりんはこっくりと頷いた。

「何でだよーっ! お前がそのまま死んじまわないように、この十年、術者を探し回ってきたんだろうがぁ!」

『そうだけど、でも猫又になるためじゃないもんっ! あくまで元の姿に戻るためだもんっ』

「何でその二択しかねぇんだよ! 他にも生きられる道があるなら、そっちに移行したっていいじゃねぇか」

『嫌だよ! おいらは元の姿で、貫七と一緒にいたいんだ! 猫又になって、貫七がいなくなってもずっと一人で生きていかないといけないなんて、絶対に嫌だ!!』

 不意に勃発した口喧嘩を黙って聞いていた小薄は、ふ~む、と呟くと、扇をくるくると回して口を開いた。

「何となく事情がわかってきたな。お前さんたち二人、どちらも相手を想うが故に、命を軽く見ておる。いかんぞ、それは。己の命は大事にしないと」

「でも俺には、それぐらいしか差し出すものがねぇんです」

 貫七が、またもきっぱりと言う。
 小薄は口元に扇を当てると、じ、と貫七を見た。