「まぁな。我らと同じような者じゃしの」

「へ?」

 ぽかんと貫七が阿呆面になる。
 その表情に、青年は、あれ、と意外そうな顔をした。

「ん? お主、知らなかったのか? 太郎坊は、天狗だぞ」

「……へ……えええ?」

 いきなりな告白だ。
 確かに単なる人にしては、魂の移動とか人間離れした技を使ったが、ずっと育てて貰った記憶の中では、特にそのような人外な力を見たことはない。
 姿かたちだって、普通だった。

「お、おりん。お前、知ってたか?」

『ううん。おいらも初めて。そ、そうだったんだぁ』

 前足を顎に当てて記憶を探るおりんの中にも、師匠である行者は単なる老人だ。

『で、でも、おじいさんのわりには、やけに元気だったよね』

「そう……かな。ガキだったし、あんま気にしたこともなかったが」

 一人と一匹が衝撃を受けている様子に、青年が不意に笑い声を上げた。

「はははっ。太郎坊殿も、なかなか巧みに化けておったようだの。まぁ天狗はより人に近いからの。山におる行者は、皆怪しんでかかってもいいぐらいなのだが」

「ええっ! そ、そんなに?」

「ま、言ってしまうと、稲荷山にいる者も、全て疑ってかかったほうがいいかもしれんがな」

 ふふふ、と扇で口元を隠して笑う。