え、と貫七は目を見開いた。

 そうか、そういう手もある。
 ……そんな簡単に猫又になれるのかはわからないが、目の前にいるのは紛うことなき人外だ。

 妖狐は神通力も高いと言う。
 頼めば、おりんを猫又にしてくれるかもしれない。

「そ、そうだよ。魂の移動が出来なかったり、万が一おりんの身体が駄目になってたりしたら、もういっそ、猫又になっちまえ。そうすりゃ長生き出来るじゃねぇか。はは、そうだ、そうしよう」

 嬉しそうに言う貫七だったが、いきなり肩にちくりと痛みが走った。

『やだよっ! そんなの、貫七が死んじゃっても、ずっと生きなきゃ駄目じゃないか!』

 耳元で、おりんが叫ぶ。
 あまりの大声(耳元なので)に一瞬くらっとし、貫七は驚いて顔を横に向けた。

「何だよ。このままあとちょっとで死んじまうよりいいだろ?」

『やだって! おいら、貫七がいないまま生きたくなんてないよ! だったらこのままでいい!!』

「……ちょ、み、耳が痛ぇ……」

 思わず耳を押さえた貫七を、少年は正面からじっと見る。

「何を必死になってんだよ。良い方法だと思ったのによ。大体、お前の身体、ほんとに無事かわからねぇじゃねぇか。どろどろに腐ってる身体に戻るよりは、猫又のほうが、いろいろ便利だと思うがな」