鼻息荒く言う貫七に、おりんは少し不安になった。
 ずい、と身を乗り出す。

『あ、あのさ。その、オスキ……様? て?』

「ここの狐を統べる最高位の善狐」

 おぅっとおりんが仰け反り、危うく肩から落ちそうになる。

「どうした、おりん」

『だ、だって。本物の神様? だよ。か、神様の要望なんて、大丈夫なの? おいらたちに出来ることで満足して貰えるのかな』

 必死で言うおりんに、前を歩いていた少年が、ぴたりと足を止めた。
 そして、ぐい、とおりんに顔を寄せる。

「お前さん、可愛いねぇ。言ってしまえばおいらたちなんて妖怪だよ? 人に忌み嫌われるようなものかもなのに、そんな気ぃ遣わなくても」

『だ、だって。おいらだって、妖怪みたいなものだもの。今のおいら、まるで猫又じゃない』

 何となく貫七の頭の後ろに隠れながら、おりんが言う。
 途端に少年は、あははは、と笑い声を上げた。

「なるほどねぇ。確かにお前さん、猫又だな。もういっその事、猫又になっちまえば? そうすりゃ多分、この兄さんよりも長生き出来るよ?」