「そもそもお前ら人間が怠慢するから悪いんだ! ここの本殿は、元々もっと上の、一ノ峰が本来の本殿なんだよ! でも人間がそこまで行くのが面倒だってんで、下のほうに本殿を造りやがって。お蔭でお布施もそこ止まりよ。ただでさえ社が多くてやりくり大変だってのに、下にしかお賽銭入れてくれないなんて、上のほうは干からびちまうよ」

「はぁ、そうなんかい。そいつぁ……狐も大変なんだな」

 ちょっと呆れ気味に、貫七が応ずる。

「まぁ、退屈しのぎもあるけどね」

 言いつつ、少年はとことこと参道のほうへと歩いていく。
 何となく、貫七も後をついていった。
 望みが打ち砕かれたため、階段がやけに長く感じる。

「何を沈んでんのさ。おいらが何のために、お前さんに正体をバラしたと思ってんだい」

 前を行く少年が、くるりと振り向いて、面白そうに貫七を見下ろした。

「魂の移動なんて、なかなか出会える案件じゃないわさ」

 じ、と貫七の肩のおりんを見て言う。
 え、と貫七は、一瞬足を止めて少年を見上げた。
 そして、だだだっと一気に階段を駆け上がる。

「て、てことは、お前がおりんを戻してくれるのか!」

 噛みつく勢いで言う貫七に、少年は思い切り仰け反った。
 渋い顔で、ぐい、と貫七を押し返す。