「そ……そうなのか?」

 愕然と、貫七は少年を見た。
 そして、はた、と我に返る。

「お、お前、何で魂がこの猫に入ってるって知ってんだ」

「……ほんとに馬鹿だね。散々お前さんが、おりんおりんって言ってるじゃないか。それにその猫、さっき喋ったし」

『あ』

 おりんが慌てて、前足で口を押える。
 それにさらに冷たい視線を投げ、少年はひらひらと手を振った。

「つか、それでなくてもおいらにかかればそれぐらい、お見通しさね。初めっからお前さんらが普通じゃないのはわかってたさ。でないとわざわざ姿を現したりせん。客でもなさそうなのに」

「客?」

「お前さんも言ってたろ。腹の赤子がどうのっていう術者ってやつ」

「あれはやっぱりお前かい」

「そうさね。人に罰を与えて改心をさせる」

 ぽかんと見る貫七の前で、少年は何気ない風に背を向けた。
 その尻に、ふさふさの尻尾が生えている。

「お前……狐か……」

「ここは稲荷山だよ。おいらみたいな狐はごろごろいらぁな」

「お稲荷様が、何でそんな商売を?」

「小遣い稼ぎ」

 さらっと言う。
 何と庶民的な理由なのか。

「今、『は?』て思ったろ」

 少年が振り向き、貫七をきろりと睨む。