「馬鹿だね、お前。何を聞いていたのさ。さっきおいらが、普通は魂をいじることなんか出来んと言っただろ」
いきなりかけられた声に顔を上げれば、貫七もすっかり存在を忘れていた少年が、不満そうに見ている。
「何だよ、いきなり」
落ち込んでいるところに馬鹿呼ばわりされ、露骨に顔をしかめて貫七は少年を睨んだ。
が、少年は臆することなく口を開く。
「魂の移動が出来るなんざ大したもんだが、通常はそこまでよ。それも、元々の命数が、その魂にあっただけのこと。そこで終わる魂なら、移すことも出来ずに滅びてるわさ」
「それでも出来たんだ。同じことだろ。命数があるってんなら、まだ大丈夫なはずだ。今は猫の命数が終わりに近づいてるだけで、おりんの命数が減ってるわけじゃねぇ。死にかけのものから魂を抜くってことは、そう難しいことじゃねぇってことだぜ。猫が死にかけりゃ、また魂の移動が出来る」
「それが馬鹿だって言うんだ。確かにその猫と、中の魂の命数は違うみたいだがね。そんでも魂の移動ってのは、結構な負担なんだよ。まして同種のものに移動したわけじゃない。まぁ畜生のほうがやりやすいことはやりやすいけどね。人は元々、扱いにくいんだ。魂の移動なんざ二度も行ったら、魂が弱っちまう。しかも畜生から人へだろ。純粋なものから不純なものへの移動さね。畜生は純粋だから魂も元気でいられたけど、汚ぇ人間の中になんか、なかなか戻せるものじゃない」
いきなりかけられた声に顔を上げれば、貫七もすっかり存在を忘れていた少年が、不満そうに見ている。
「何だよ、いきなり」
落ち込んでいるところに馬鹿呼ばわりされ、露骨に顔をしかめて貫七は少年を睨んだ。
が、少年は臆することなく口を開く。
「魂の移動が出来るなんざ大したもんだが、通常はそこまでよ。それも、元々の命数が、その魂にあっただけのこと。そこで終わる魂なら、移すことも出来ずに滅びてるわさ」
「それでも出来たんだ。同じことだろ。命数があるってんなら、まだ大丈夫なはずだ。今は猫の命数が終わりに近づいてるだけで、おりんの命数が減ってるわけじゃねぇ。死にかけのものから魂を抜くってことは、そう難しいことじゃねぇってことだぜ。猫が死にかけりゃ、また魂の移動が出来る」
「それが馬鹿だって言うんだ。確かにその猫と、中の魂の命数は違うみたいだがね。そんでも魂の移動ってのは、結構な負担なんだよ。まして同種のものに移動したわけじゃない。まぁ畜生のほうがやりやすいことはやりやすいけどね。人は元々、扱いにくいんだ。魂の移動なんざ二度も行ったら、魂が弱っちまう。しかも畜生から人へだろ。純粋なものから不純なものへの移動さね。畜生は純粋だから魂も元気でいられたけど、汚ぇ人間の中になんか、なかなか戻せるものじゃない」


