「いや、何もあんたが衆道者だと言ってるんじゃねぇぜ。違うからこそ、悩んでるんじゃないかい?」

 おろおろと赤い顔で視線を彷徨わせていた政吉が、貫七の言葉に、若干安心したように息をついた。
 大きく息を吐き、項垂れる。

「そ、そうなんです。いえ、正直に言うと、自分でもよくわからないのですよ。確かに昔は、若様の振る舞いに嫌悪がありました。大店の一人息子で甘やかされているせいで我が儘ですし、十を過ぎてもあの格好で、人をおちょくっているでしょう。私とはまぁちょっと離れていますが、自分とは何と言う違いだろう、と呆れたものです。でも歳が長ずるにつれて、そこに違う感情が芽生えてきて。憎たらしいんですけど……綺麗なんですよ。女装のときのほうが長く見ておりますので、私の中ではもう『お嬢様』なんです。しかも、若様もそれなりの歳になれば、世間もわかってきます。ご自分でも、悩んでおられるのですよ。その苦悩がまた、艶になって……」

 照れつつ、政吉が吐露する。
 が、がばっと顔を上げた。

「で、でも。あの、そんな若様に、変な気持ちになることはあります。ですが、いまいちそれが、恋故なのかわからないのですよ。何といっても、若様は男ですし」

「そうだろうな。あんたの苦悩も、まぁわかるぜ。だから、今回の計画が上手く行けば、その苦悩もなくなるってこった」