「そうさな。妾の子のことは、旦那に任すしかねぇし。それはともかく、お嬢さんは男嫌いなんだろ? 相当なもんだって、あんた言ってたよな?」

「ええ」

「でもあいつ、俺に惚れてるぜ」

 顔色も変えず、しゃあしゃあと言う。
 傍から見ていても明らかなので、その通りなのだが、普通そういうことを、自分で言う者などいない。
 政吉は曖昧に笑みを浮かべた。

「そうですね。まだ女にもなっていないというのに」

「まぁ俺は、老若男女問わず惚れられるから、おかしくねぇといえばそうなんだが」

「……そこまできっぱり言われると、何だか好感すら持てますね」

「そうだろ?」

 にぱっと笑う。
 若干脱力したように、政吉は壁にもたれかかった。

「でもな、あんたはどうなんだ? 男嫌いのあいつが、あんたにはそう嫌な態度も見せてないじゃねぇか。正体を知ってるってことは、それだけお嬢さんは、あんたに心を許してるってことじゃねぇのかい?」

「え?」

 政吉が、驚いたように目を見開いて貫七を見た。

「お嬢さんは初め、この俺にも靡かないほど、男そのものを嫌ってた。そこまでなのに、お前さんと旅をするなんて考えられないぜ」