男はともかく、女に関しては例え身体の関係を持ったとしても、その時だけ。
 いくら貫七の顔が抜群に良くても、この軽口では人柄が知れるというもの。

 いかにも遊び人とわかる振る舞いに、女のほうも、そこまでのめり込まずに済むのだ。
 貫七の、唯一褒められるところであろう。

 ただいくら軽く振る舞っていても、長く一緒にいれば、真の人柄に触れてしまう。
 そうなると本気で惚れられることもある。
 お紺がいい例だ。

『そうだね。あのお嬢さん、考えてみれば思い込みが相当激しいよ。女になったら、それだけでお前と一緒になれるとでも思ってるのかね。お前の気持ちを自分に向かせる自信でもあるんだろうか』

「そうなんだよな。俺のことなんざ頭にない感じで、一人暴走してやがる。実験台にゃ打ってつけだが、後々ややこしそうだぜ」

『あいつは自分のために、貫七が術者を探してくれてると思ってるからね。もしかして、お前も自分のことを好いてるから、そこまでしてくれてる、と思ってたりして。うわ、じゃああいつの頭ん中じゃ、自分の性別だけが問題なんじゃないか? それさえ変えれば、店にも戻れる、貫七とも上手くいく……』

「馬っ鹿だな。誰があんな野郎のために、ここまでするかい。あれがほんとの女だったとしても、あんな我が儘な奴ぁごめんだぜ」

 吐き捨てるように言い、貫七が足元の小石を蹴る。