しかし、私の願いは届かず。


今度はしっかり、先輩の目と、私のそれが交わった。




「な…!」




やっぱり、気づいてたんだ…!




恥ずかしくて、恥ずかしくて。


監視なんてしなければよかったと、後悔した…のに。




先輩が私の姿をもう一度捉えた瞬間。




ぱっと表情を変えて、私に満面の笑みを向けるから。


大きく腕を振って、何か一生懸命叫んでるから。










「馬鹿じゃないの…」










私は、目を反らすことができなかった。










いつも私のところにきて、好き勝手した挙句


すぐに嵐のように去っていく先輩。




散々私を振り回すくせに


なかなか頭から離れてくれない先輩。










そんな先輩が、私は大っ嫌いだ。