そう、自分に言い聞かせて、近づいた窓。


いろんな部活が目に入るけど、一番目立つのはやっぱりサッカー部のビブスの蛍光色。


先輩は、もうそこにいて、端でウォーミングアップをしていた。


側には、誰かが立っている。


きっと、部長さんで、怒られてる真っ最中なんだろう。


…先輩は、聞いてるのかもよくわからない態度で、普通に体操してるけど…。




少しして諦めたのか、部長と思しき人物が先輩から離れていく。


そこで上がった先輩の顔。




「…っ」




私は咄嗟にしゃがんで身を隠した。




…だって。


先輩の上がった顔は、確実にこっちに向いていたから。


一瞬、目が合った気がしたんだ。




私の心臓は、バクバク鳴ってる。


でもそれは、先輩にドキドキしてるわけじゃなくて。


見ててって言われたから見てるなんて思われたら、恥ずかしすぎるから。




私はただ、監視してるだけだけど…。


でもやっぱり、ばれてませんように。




そう何度も願って、もう一度、慎重に立ち上がる。