「……は、離してくだ、さい」
やっと言葉が出てきて、頭も正常に動き始める。
状況をハッキリ理解した瞬間、私は先輩の腕をすぐさま掴んだ。
しかし、その手は引き剥がすまでもなく、自らパッと離れていく。
「よし、やる気出た!これで頑張れるよ俺!」
「はい?!」
とても眩しい笑顔でVサイン。
…いやいや。
何勝手に抱きついてやる気出してるの?!
そんな顔しても許されませんよ?!
「私は許可してませんからね?!」
「でも嫌じゃなかったでしょ?」
「んなわけないでしょう!」
「でも、俺のやる気が出たからいーの!」
「いやよくない!」
私がどれだけ怒鳴っても、先輩はとても嬉しそうに笑ったまま。
「んじゃあ、行ってくるから!見ててね柚麻ちゃん!」
「あ、ちょ…!」
引き止める声は届かず、走って教室を出て行ってしまった。

