「じゃあ、次の授業になっちゃうし、帰らないとね」
「あ、そうですね」
気づけば、チャイムが鳴ってから時間が経っているし、次の授業も遅れるかもしれない。
…さっきは、サボっちゃったけどさ。
ていうかサボったの初めてだし、いつもやってるわけじゃないからもうサボらないし!
私はすぐ帰ることにして、先輩に声を掛けた。
「じゃあ、私は戻るので。今日はありがとうございました」
「いやこちらこそ!楽しかったよ!」
楽しかったって言っても、何もしてないんですけど。
私よりも絶対、おかしいのは先輩の方だ。
「じゃあ、また」
私は少し笑って、歩き始めた。
「あ、柚麻ちゃん!」
背後からまた明るい声。
振り向いて見ると、満面の笑みの、先輩。
「俺、2年3組中沢尚!よろしくね!」
「はい!」
私は少しは声を張って、離れている先輩に返事をした。

