この声が届くなら。

ありがとう。とお母さんは涙ぐみながら言った。





「ほら、もう時間でしょう?」


「ほんとだ!柚葉、できた?」


「あ、うん!」





少しだけ慌てながら玄関に向かう。









「柚葉...
大切な人たちを手放しちゃダメよ。

今以上に大切にしなさい。」







お母さんはそう言って見送ってくれた。