この声が届くなら。

「え...」





「俺な。
昔、付き合ってた彼女が重い病気になったんだ。

俺は俺なりに彼女のそばにいて
守ってるつもりだったんだ。

でも、病気は容赦なく彼女の体をむしばんだ。

日に日に痩せていく彼女を
見ることはとてつもなく辛かった。

それから病気と闘って1年。彼女は亡くなった。

守りきれなかった俺は、彼女に償うつもりで
誰とも付き合わなかった。

いや、付き合えなかったんだ。
失うことが...怖くて。

だから...陽葵ちゃんとも付き合う気はなかった」