この声が届くなら。

「知山くん、どうかしたの?」


「勇気」


「え?」







「“勇気”って呼んで」






知山くんは真剣な眼差しで私を見てそう言った。


その圧に負け、私は頷いてしまった。






「んじゃ、呼んでみて?」


「ゆ、ゆゆゆゆうきくん...」



「あはは(笑)
本当は勇気って呼んで欲しいけど最初だしいっか」








勇気くんは爽やかに笑って言った。