この声が届くなら。

「あ...」


羽琉くんが走っていく姿をじっと見ていると知山くんが声を漏らした。






『どうかしたの?』


そうノートに書き聞けば...




「あれ...羽琉の母さん」



と帰ってくる返事。


知山くんが指差す先には
茶髪のふわふわした髪を肩まで伸ばした優しそうな綺麗な女性がいた。







『あの人?』


「そう」


『でも、何で泣きそうだったの?』






それは...と
知山くんは難しい顔をした。