「鈴木先生?」


「誰だろうな?」




「鈴木先生―、佐々木です。」



扉の向こうの相手は、私のクラスの担任だった。


先生はいつものトーンで返事をした。



「森田、見なかった?」



え、私?!



「いや、見てないな。」



「あー、ならいい。
ありがとな」





担任は礼を言うと中には入らずそのままどこかに歩いていく足音が聞こえた。