「じゃあ汐音な。 その変わり、汐音もその敬語やめろ」 私の返答を急かすように、鈴木先生はサラッと私の名前を呼んだ。 その顔は笑ってる顔じゃない、真剣な顔をしている。 「…今は、おばあちゃんと暮らしてる。 というより、暮らしてたかな」 おばあちゃんが入院しているいまは、もはや一人暮らしのようなもの。 「過去形?」 「おばあちゃん、入院してるから。」 車内の空気が冷えていく。