私は男の側まで行くと、軽く腕が触れるくらいの所に座った。 男が私を抱きしめる。 「嫌な夢、見ちまった」 「そう」 私は優しく答えてあげる。まるで恋人がそうするように。 彼は恋人ではない。 「授業があるから準備しなきゃ」 今日は大学で朝から講義がある日。 私は軽く告げると、名残惜しそうな男の視線を無視して出掛ける準備を始める。