漆黒の闇に、偽りの華を


「お前。本当にあいつの彼女とかじゃねーの?あいつが寝顔見せるとか、信じられねぇ。」


太一が、真剣な顔であたしに聞いてくる。


何?そんな大事なわけ?


「違うって言ってんじゃん!きっと凄い疲れてたんでしょ!!」


「……」


何その疑ってる目。


たかが人前で寝たってだけの話じゃないの?


太一の目は、何だかあたしの疚しい部分を全て疑ってるようで、酷く居心地が悪くて……


「……帰る。」


あたしは、その空気に耐えきれず、倉庫の出口へと急ぐ。


「あ!待って茉弘ちゃん!今日はね、大事なミーティングがあるんだ!!悪いけど、茉弘ちゃんも参加して!!」


春馬があたしを必死に呼び止めるから、仕方なく足を止めて振り返る。


気分が悪い。

太一の側に居たくない。


今日は帰りたいんだけどな。


「……ミーティングって?」


「煌龍の活動についてだよ。恭が、茉弘ちゃんにも知っておいてもらいたいって。」


それは……あたしの目的の為にも参加しなくちゃいけない内容ってわけね。


「分かった。何時から?」


「恭が起きてからだから、2時間後くらいからかな?」


「了解。それまで、ちょっと出てくる。」


あたしは、困惑するみんなをよそに、倉庫を後にした。