漆黒の闇に、偽りの華を


「あんたこそ。こんな時間に何してんの?」


「俺はただのサボリ。」


太一は一度ニヤッとして、倉庫のドアを開け放つ。


そこは昨夜のまんまだった。


いや、昨夜よりも沢山バイクが並んでいる。


みんな使わない時は、ここに止めてるのだろうか。



あぁ。昨夜あった事は、夢ではなかったんだなって思った。


あたしは煌龍に潜入したんだ。



「入んのか?入らねーのか?」


「え?いいの?」


「うちの総長さんからの言い付けなんでね。お前が来たら無条件で入れてやれって。」


……恭が?


どれだけあたしの事を信用してるのよ。


嬉しい気持ちと申し訳ない気持ちが、あたしの中で喧嘩していた。


その気持ちを振り払って、中に入っていく太一の後を追う。



「ここの鍵って、太一が管理してるの?」


歩くのが早い太一に、やっとのこと小走りで追い付いて質問する。