「はぁ!?ちょっと待った!!大丈夫なのか!?それ!」


太一は真っ赤に手形の付いた頬を擦りながら言う。


「いや、むしろお前の方が大丈夫なの?太一。大分痛そうだけど。」


「……すげー痛い。」


そう言うと太一は、百合さんに思いっきり睨み付けられ、両手を挙げて苦笑いする。


百合さんにビンタされたな。


見かけによらず、尻に敷かれてる感じなんだ。


太一は一度咳払いをして、話を元に戻す。


「いや、俺のことはいいんだよ!本当にこんな見ず知らずの女を傍に置いていいのかって聞いてんだ!

ただでさえ今、煌龍の傘下で不審な動きがあるんだ。変に弱味を増やしたって何の特にもならねーぞ?」


「太一の言う通りだね。でも、すぐに茉弘が狙われる事はないよ。

俺や幹部の彼女なわけではないから、煌龍の中で大々的に御披露目することもない。
族の仲間として迎え入れるわけでもないから、下の連中に紹介しなきゃならないわけでもない。」


「彼女が公になることは、ないってことだね。」


春馬が幹部室のベッドの上に横になりながら恭の言葉を補足する。