あたしは思わず立ち上がって彼に詰め寄る。
「な……にを……気は確かですか!?今の話聞いてました!?
副総長の彼女でも危険なんです!
総長の彼女という立場が、どれだけ危険か分かってます!?それこそ、こんな掠り傷じゃすまないんですよ!?」
彼も立ち上がる。
180はあるだろう恭の背に、あたしは見下ろされる形になる。
「あったま硬いなっ!!このマジメガネ!!!そんなの覚悟の上で言ってるんじゃないっ!!!」
あたしがそう言って彼にまた一歩詰め寄ると、彼は驚いて一歩後退りする。
「例えあたしに何があっても、助けたりしなくていいっ!!
つーか、何かないように守りきりなさいよっ!!
あんたそれでも伝説の"煌龍"総長!?」
そう言い終えて、あたしははっと我に返る。
やってしまった……。
これは完全にやってしまった……。
誰がこんな自己中で、自分をさんざん罵倒した奴を彼女にするのよ。