「ほら。手当てするから早くそこ座んなよ!えっと…………」


「茉弘。」


あたしは彼女を見据えて、初めて自分の名前を名乗る。


「………………ふーん。茉弘ね。いい目してんじゃん。茉弘、ほら足出して。」


彼女は、あたしを見て一度ニヤッと笑い、棚の上の薬箱を取りに行く。


すると、何かを思い出したかのように「あ!」と叫んで、振り返る。


「ねぇっ!恭っ!太一は!?」


「さっきまで一緒だったよ?」


彼女は「はぁぁぁ~!?」と言って、真っ赤になって鬼の形相。


「あいつやっぱりぃ~~!!!
足の怪我完治してないから、まだ前線には出るなっつったのに!!!」


「えぇ!?太一怪我してたの!?だって普通に…………」


と言いかけて、口を押さえてあたしを見る。


うん。

普通に"足で"蹴り飛ばしてたよね。