「仕方ないよ。茉弘はこの世界に飛び込んでまだ日が浅いんだよ?別に恭の彼女になろうってここに来たわけじゃないんだし、あたし達が教えなきゃ知らなくて当然だよ。」
百合さん……庇ってくれてありがとう。
でも、今はその優しさすら痛い。
自分の浅はかさが、凄く恥ずかしい。
「それに、あたしは"姫"制度はそんなにデメリットばっかじゃないと思うよ?
守るべきものがあるから、男達は強くなれるってもんでしょ。現に、みんなに愛される聡明な良い姫をとった族は、強大な勢力になるっていう暴走族ジンクスもあるんでしょ?」
「そんなのごく一部よ。姫なんかいればその族の負担が増えるだけ。
ね?そうでしょ。恭。だから、あんたは姫を避けて来たんじゃない。」
聖也さんは、隣に座っている恭に話をふる。
恭は黙っていたが、少しすると溜め息を付いてゆっくりと口を開く。
「俺は、族の負担どうこうで姫を取らないと決めていたわけじゃない。」
「……?じゃあ、何?」
聖也さんが、怪訝な顔で恭を見る。
「お前に話すような事じゃないよ。」
「はぁ!?」



