「なーんだ。そんな事か。」


百合さんは、ガッカリした様子でテーブルに頬杖を付く。


「なんだじゃないよ。恭が直みたいな事してるんだよ?女遊びとか……する奴だったとは……。」


あたしは、恭をまた睨み付ける。


恭は困った顔であたしを見るが、すぐに目を逸らして溜め息をつく。


「いやいや、それ本当に勘違いだと思うよ?直はともかく、恭はキャラじゃないっしょ。」


「お前ら直の事言いたい放題だな。

ってかさ、百合恭の事買い被りすぎ。こいつこれでも昔から結構モテるんだぞ?中学の頃なんかこいつ美人の先輩と体育館裏の倉庫で……」


「太一ぃっ!!!」


慌てて太一の口を塞ぐ恭。


「余計話が拗れる。お前喋るな。ていうか
お前、俺をフォローする気ないだろ。」


「ない。笑」


――――――――――ゴンッ!


太一は思い切り恭の鉄拳を食らう。


「体育館裏の倉庫でねぇ……へぇ。」


「こら茉弘遠い目してる!遠い目してるからっ!昔の話ですよ!昔の!」


へぇ。


昔本当にそうだったんだ……。


って、あたし本当にさっきから気にしすぎだよな。


恭が、誰とどうしてたってあたしに関係ないのにね。