「ちょっと!離しなさいよっ!」
「おっと。こっちの女は威勢がいいねぇ。あっちの女なんかグッタリしてんのに。」
……え?
百合さんの方を見ると、真っ青な顔でガタガタ震えている。
様子がおかしい。
――――――――あ!
そうか。
百合さんの過去のトラウマ。
虐待されてた過去が、こいつらに乱暴にされた事でフラッシュバックしてるのかも……。
それなら……まずい。
「こんな事もあろうかと、仲間忍ばせておいて良かったわ。
さぁーてと。今度はこっちに交渉の権利があるよな?総長さんよ。」
「…………。」
駄目だ。
あたし達が捕らえてる以上、恭は動けない。
あたし達が完全に弱味になってる。
……来るんじゃなかった。
あたしのせいで、百合さんまで巻き込んで。
それに、恭の足手まといになんてなりたくなかった。
……………………悔しい。



