「駄目だこいつら。頭悪すぎて話が通じない。せっかく説得から入ってやってんのになぁ。恭どーする?」
恭は、幹部3人の少し後ろに立っていた。
後ろから照らすヘッドライトのせいか、一人だけ他とは違う異様な威圧感。
恭がゆっくり前へと足を進めると、春馬と話していた男がたじろぐ。
何か……いつもの恭と様子が違う?
「さっきからごちゃごちゃ煩せぇな。ここにてめぇらの居場所はねーよ。さっさと消えな。」
…………は?
今、誰が喋った?
「はっ。それが総長さんの正体ってやつですか。凄めばこっちが退くとでも思ってんのか?あ?」
「面倒くせぇな。退いといてくれよ。こっちも暇じゃねぇんだ。」
聞き間違いじゃない。
これ喋ってるの、恭だ。
いつもより低い声。
ドスの利いた喋り方。
座った目。
威圧感のある雰囲気。
いつもの恭とは、似ても似つかない。
これが、恭の"総長"の顔?
どうしよう。
手が震える。
すると、背中に微かな温もりを感じる。
振り返ると、百合さんがあたしの背中に手を置いている。
「茉弘。目を反らしちゃだめだよ。ちゃんと、もう一つの恭の顔、見てやって。これもあいつだから。」



