「だって、副総長の彼女って相当危険なんでしょ?簡単な覚悟で、今百合さんがここに居るんだとは思えないから。」
百合さんは、一瞬驚いた顔をしてから呆れた顔で溜め息をつく。
「あんた自分の事は疎いのに、人の事になると妙に鋭いんだね。」
百合さんは、あたしの頭をポンポンと叩く。
「まぁ、茉弘になら話してもいいかな。」
そう言って、あたしに微笑む百合さん。
いつもの太陽みたいな笑顔じゃなくて、少し寂しげな、そんな笑顔。
「あたしね、太一と出会う前、虐待受けてたんだ。」
…………え?
「虐……待?」
「うん。母親が連れてきた男にね、毎日殴られてた。」
「っ!」
正直信じられなかった。
百合さんはいつも、強くてしっかりしてて。
あたしなんかと違って自分の意思をしっかり示すことが出来て。
誰かに殴られたら殴り返しそうな、そんなイメージだったから……。
そんな殴られっぱなしで日々を過ごしてたなんて、想像すらつかなかった。



