「何歳だったかな?まだ、お父さんお母さんが死んじゃう前、家族で近くの川原で花火をやったの。」


「茉弘のご両親が亡くなったのって……」


「うん。あたしが10歳の時だから、それよりももっと前の話だね。
友達が家族で花火をやったって言うから、あたしどうしてもやってみたくなって、お父さんお母さんに駄々こねたの覚えてる。」


「ははっ。茉弘はあんまり駄々こねたりとかしなさそうなのにね。」


「小学生になるか、ならないかくらいの時だよ?あたしだって駄々くらいこねます!」


「ふっ。それで?」


「それで、あたしが余りにうるさいから、お父さんお母さんがとうとう折れて、近くのコンビニで花火買ってさ。
みんなで川原に行ったの。」


恭は、あたしの話を優しく微笑みながら聞いている。


線香花火が終わると、また次の線香花火の火を灯しながら。


二人の線香花火が、競うように火花を散らす。


「その時、最後にやったのが線香花火でさ。みんなで、誰が一番長持ちするか競おうって事になって。これがさぁ、絶対にあたしが始めに火種落とすの。」


―――――――――ぽとっ


「あ。」


「ぶふっ!確かに、さっきからよく火種が落ちる!変わってないんですね、茉弘は!」


「煩いなっ!」