漆黒の闇に、偽りの華を


「恭でもそんな事あるんだ。」


「そりゃありますよ。俺だって17歳の一男子ですよ?」


「何なのそれ。」


可笑しくてクスクス笑うと、恭も同じ様に笑う。



「着きましたよ。」


「…………っわぁ!!」



そこは断崖絶壁の丘の上。


目の前に広がるのは、一面のきらびやかな夜景。



壮絶な景色に鳥肌が立つ。




「……これ、あたし達の住んでる町?」


「うん。そう。あそこの少し暗くなってる辺り、あそこが俺ら煌龍の地区です。」


煌々と光輝く夜景の中に、少しぼやけた黒の部分。


恭は、目を細めて微笑みながらその部分を指差す。


「"煌龍"という名前は、この景色を見て俺が付けたんです。
"煌々とした光の中の一つの闇。俺はあの中でも龍のように強い心で在りたい。"」


恭の凛としたその姿は、暗闇の中でも一層輝いて見えた。


綺麗……。


なんて、男の人に思うのはおかしいのかな。


「なんてね!くさかった?」


と言って恭が、冗談のようにおどけて見せるから、あたしも


「ちょっとね!」


なんて言って笑ってみせる。