「あはは。彼女じゃないよ。友達。」
「あ。すんません!そうでしたか!!そっか。幹部の方達は、彼女さん出来たら集会で御披露目しなきゃですもんね!百合さんの時みたいに。」
「基本的にはそうだね。
あ、これありがと。有り難く貰っていきます。」
そう言って、恭はまたヘルメットを被る。
「あ、ありがとう!えっと……明……くん?」
明はニコッと無邪気な笑顔で笑って、また軽く頭を下げる。
そして、またバイクが動き出す。
「みんな、いい子達だね。」
バイクのエンジン音にかき消されないように、大き目の声で恭に話し掛ける。
「そうでしょ?下の奴等もみんな、家族みたいなもんです。」
恭の後ろ姿しか見えなかったけど、そう言う恭の声には温かさが籠っていた。
恭は、本当に煌龍が大切なんだ。
そんな大切な人達の中から出る"裏切り者"。
恭は、どんな気持ちで受け止めているんだろう?
きっと……辛くないはずがない。