「オーナーがスイカくれたで!みんなでスイカ割りしようや!」



翔太さんは、子供のような無邪気な表情で、大きなスイカを頭の上まで持ち上げた。



スイカを持ち上げる翔太さんの腕の筋肉がたくましくて、ドキドキしていた。




あの腕に、ぎゅって抱きしめられる女性がいるんだと思うと、胸の奥が苦しかった。





知ってるんだ。


好きになる前からずっとね。




翔太さんの、左手の薬指の指輪。


翔太さんには、彼女がいる。




ゴツゴツとした指輪。


でも、ただのお洒落で付けてるわけじゃない。


大事な人がいるんだ。



目撃してしまった。


眠れない夜に、私が一人で浜辺を歩いていた日のこと。


砂浜に座った翔太さんが、誰かと電話をしていた。



わかるんだ。


翔太さんのあの素敵な笑顔は、愛する人がいる笑顔なんだって。


あのキラキラした瞳も、恋をしているからだって。




それなら、私も近づける?



私も翔太さんに恋をしている。


だから、翔太さんに近づける?


誰かに恋をする翔太さんの、


あの笑顔に…

あの瞳に…