お盆を過ぎた海は、客層が変わっていた。


サーファー中心で、家族連れは少なくなった。



カキ氷を運ぶ私は、何度か声をかけられる。



私も里香も、適当に断りながら、仕事をこなす。




私は、軽い男の人が嫌い。



最初に付き合った男の子が、二股をかけていた。


男は裏切るものって覚えたのは、あいつのおかげ。



軽い男の人は苦手。


だから、こういう風に軽く声をかけてくる人も実は怖かったりする。



「ねぇ、ねぇ!姉ちゃん、バイト何時に終わる?今日、夜飲み行かない?」



真っ黒な肌だけど、翔太さんとは種類が違う気がした。


どうしてだろう。


翔太さんにしか、魅力を感じない。




「すいません!禁止されてるんで~!」



断るのは慣れたけど、結構みんなしつこくて、疲れる。



休憩で、海に出ていた翔太さんが、こっちに向かって歩いているのを見つけた。


見られたくないと思った。


声をかける人と仲良く話してると思われたくない。



「いいじゃん!花火やろうよ!花火!夜、ここで待ってるからどう?」



私は、曖昧に笑ってその場を離れようとした。




「何、無視してんだよ!!」



大きな声で呼び止められた。



怖い…