「離れた場所におっても、結局思い出すんやけどな。俺、まじあきらめ悪いな。」
「そんなことないです。一途で素敵です!簡単に次の彼女が作れる男の人よりもずっと、かっこいいし、男らしいし、信用できます!」
私は必死だった。
翔太さんは、最高に素敵な人なのに、自分を責めていた。
翔太さんに、自分を嫌いになって欲しくなかった。
「そんなん言われたん初めてや!そんなこと言ってくれんの、お前だけやわ。ありがとうな!」
翔太さんは、手に付いた砂をパンパンって落としてから、右手を差し出した。
「手、出せや!」
私が出した右手をぎゅっと握ってくれた。
「お礼の握手!今日は、気分良く寝れるわ、俺…」
さっと立ち上がった翔太さんとは対照的に、なかなかすぐに立ち上がれない私。
運動神経の差だな、なんて考えていると、翔太さんが私の手を引いてくれた。
「瑠奈どんくさ!!」
「ひどい!翔太さん!」
私と翔太さんは、宿までゆっくりと歩いた。
時々、翔太さんが肩をぶつけてきて、私も、ぶつけ返したりして、カップルみたいに歩いた。