風が吹く。
昼間の暑さが嘘のように爽やかな風。
「俺が、一歩前に進めたら、一緒にこの指輪海に投げてくれへん?一人やったら決心がつかんから、隣におってくれや。」
翔太さんは左手の薬指の指輪を指差した。
「捨てちゃって良いんですか?もう戻ってこーへんけど、大丈夫?」
「せやな。今はまだ無理やけど、この夏の間に捨てようって思えるかも知れん。わからんけどな・・・捨てる時は、頼むわな!」
すごく嬉しかった。
翔太さんの恋の大きな一歩の瞬間に、私が隣にいられるかも知れないと思うと、涙が溢れそうになる。
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