「瑠奈・・・お前も好きな男がおるんやな。ありがとうな・・・せやな。無理してあきらめようとしても、そんなん無理やでな。」
翔太さんは両手で抱えていた膝を、前に伸ばし、足先を水に濡らす。
私は、翔太さんの横顔をじっと見つめて、心の中で叫ぶ。
好き
好き
好きです
こんなの初めてなんです・・・
翔太さんも私のように誰かを愛して、切ない想いをしているんだ。
翔太さんに負けないように、私も精一杯恋をしよう。
「瑠奈のおかげで元気出たわ。泣いたことは・・・秘密な!」
翔太さんは、笑顔でそう言って、人差し指を口の前で立てた。

