「ちょっと、話してくるわ!里香、先帰ってて!」




私は、宿の玄関から飛び出して、また海岸へ向かった。




もう彼女と電話をしているかも知れない。


声をかけることなんてできないかも知れない。




ビーチサンダルに砂がいっぱい入ってきて、走りにくかった。



海岸脇にあるコンビニの明るい看板のおかげで、翔太さんを見つけることができた。




海の水が、すぐ近くまで来る場所に…座っていた。



お尻が濡れちゃうんじゃないかって心配になる。



静かな海をじっと見つめる翔太さん。




寂しそうな横顔を見ていると、声をかけてはいけないような気がした。