翔太さんは、海岸に落ちている貝殻をかっこよく海に向かって蹴る。



後ろから、その様子をただ見つめている私。


私の視線に気付いていないとしたら、翔太さんは鈍感だ。



「そろそろ、寝るか!」



「おう。明日も早いからな。」



いつも、誰からともなく、こう言って、夜の散歩は終わる。



何も特別な話はしない。


夜の洗い物当番以外のバイトのメンバーがみんな集まって、ただ何となく歩く。




「先、帰っといてや!俺、もうちょいここおるわ!」


翔太さんは、両手をポケットに入れたまま、みんなとは反対方向に歩き出した。




彼女に電話…するのかな。


一人になりたいのかな…