その夜、宿に宿泊していたお客さんが、翔太さんにメアドを聞いたらしい。
浜辺を散歩しながら、おもしろおかしくみんなが話していた。
「さっすが、翔太はモテモテだなぁ!」
一番年上の先輩は、翔太さんの背中をドンと押した。
「ちゃいますって!たまたま気分悪いって言うてたから、薬あげただけなんですよ。」
翔太さんの夜の散歩スタイルが好きだ。
高校時代サッカー部だった彼は、当時着ていた部活のユニフォームを着る。
お風呂上がりはいつもそうだった。
赤や青のメッシュ生地のシャツは、風が吹くとふわっと浮きそうになる。
練習用の半パンも、なんだかかっこいい。
想像しちゃうんだ。
この服を着て、サッカーに燃えてたんだなって。
夢に向かって、毎日汗を流してたんだなって。
何かに一生懸命になった人は、輝いている。
素敵に見えるんだ。

