ここには、私と翔太さんだけしかいない気がする。
ニコニコ笑う翔太さんが、私を見つめている様子が頭の中に浮かぶ。
私は、手渡された棒を握り締め、翔太さんの声を頼りに、スイカを探す。
「もうちょい右やって!!瑠奈!!」
「あ~、惜しい!ちゃうって!もっと前。」
7人の仲間の声は、波の音にかき消される。
私に届くのは、大好きな人の声だけ。
「よっしゃ!!でかした!」
力を込めて、叩いたスイカ。
私の足に冷たい水分が飛んできた。
「えらいえらい!!」
駆け寄ってきた翔太さんが、目隠ししていたタオルをほどく。
目を開けると、そこには、眩しい笑顔。
汗をいっぱいかいた顔で、手を叩いて喜んでいる翔太さん。