「彩、起きろ。朝飯できたぞ」

翌朝、凌の声で目が覚めた私。
いつもどおり、制服に着替えて、凌が作った朝ごはんを食べる。

うちの家事は全部、凌がやっている。
両親は、きっと今日も夜勤だろう。
帰ってくるとしても、私が学校に行っている間だから、顔を合わせることはない。

前にあったのはいつだろう?
1か月前に病院におじいちゃんのお見舞いに行った時だったかな。
そのときは、寂しかった気持ちが埋まってとても嬉しかったのを覚えている。

でも、もう寂しくない。
凌がいるんだから。

「彩、ジャムはママレードと苺どっち?」
「ん~と、苺~♪」

学校に行く支度をしている私の横で、凌が冷蔵庫からジャムを出している。
本当は女の私がするべきなのだろうけど、私は全く料理ができないかた仕方ない。

凌が来るまでは、家政婦さんを雇っていたくらいなのだから。