「彩さん、俺と付き合ってください!」

目の前で頭を下げている男。
ジャンルははっきり言って、ダサい系。

まぁまぁ金持ってるから、一か月ほど優しくしてあげただけ。
付き合うわけないじゃない。

「ごめんね?あたし、イケメンが好きなの♪」

そう断って、さっさとその場を立ち去った。

えーっと、今月告られたのは8人目?

「あと2人くらいは狙おうかなぁ~。ね?凌(リョウ)」

私は、お兄ちゃん兼世話係の凌に話しかけた。
凌は、表情1つかえず、頷いた。

「そうだね、彩」

彼は、私の世話係で、一応兄弟。
ついでに、私の好きな人の本命だ。

凌の親が亡くなって、親戚の私のうちにもらわれた。
とはいえ、名字もかえず、大学生になるまで世話をするだけだ。

凌がうちに来たのは、2年前の私が高校一年になりたてのときだった。
ちなみに、凌は私の一つうえの高校二年生だった。