強くて弱い彼女

そこで俺は、声さえ出なくなるほどの驚きを隠せない光景を見た。

「あ、空真。お帰り、体育科の先生と話し終わったみたいだね」
「…………」
「声を失っちゃったみたい。それもそのはずよね、ずっと探していた人が目の前にいるんだから」
「そうですね。しょうがないですよ」

「以上が、前にも説明した通りよ。
あんなに英語を拒否していたのに同じ英語科の先生になれるなんて嬉しいわ。
情報科の先生も兼任するって聞いてるわ。
情報科の先生がちょうど辞めちゃったから助かってると思うわ。

英語科の方は、まず最初に基礎クラスの担当と1年生の担当よ。
1年生の方は変わらない授業だから、たのしんでやってちょうだい」
「はい、ありがとうございます」
「それにしても嬉しいわ。
英語科の先生になるなら前もって教えてくれても良かったじゃない」
「なんとなく、気恥ずかしかったもので…」
「情報科の先生がちょうど辞めるから1人で大変だろうけど、私たちが支えるわ」
「ありがとうございます」
「さぁ、後ろを振り返りなさい。

貴方に言われたことはちゃんと守ったもの。
後ろで、声を失っているわよ」
「はい」


振り返った彼女は、大人びた雰囲気を出して俺の目を見て笑った。

「久しぶり、空真」
「ぁ、いな…?」

綺麗な姿勢で、
変わらない綺麗な容姿で、
俺が好きな笑顔で、
可愛い仕草で、

変わった彼女は、今俺の前にいる。何年もの月日を経て、待ち続けた彼女が今目の前にいる。
どれだけ嬉しいか、そんなの表せない。
けど一つだけ、わかること。