あの日失くした星空に、君を映して。



「先生を呼んだので、すぐに来ますから」


そう言いながらも私の肩を押さえる手を緩めない看護師さん。


手首も押さえつけられて、お母さんには手を握られてる。


抵抗なんてできない。


フーッフーッと荒れた息をどうしようも出来なくて、左右に首を勢いよく振ると、頭も押さえられた。


もう、なんなんだろう。


わけがわからない。


「鏡華………鏡華…」


お母さんは泣いているだけだし、看護師さんは何も言わない。


少しして、部屋のドアが開く音が聞こえた。


「戸塚さん、目が覚めたんだね」


揺れるカーテンを完全に開いて、顔を覗かせた1人の男の人。


白衣を来ているから、お医者さんだ。


なんだか貫禄のある、50代くらいのおじさん。


「もういいよ、ありがとう」


私を押さえつける看護師さんにそう言うと、看護師さんは揃って出て行った。


「さて、と」


お母さんとは反対側のパイプ椅子を引いて、おじさんが私の顔を覗きこむ。


「戸塚さん、ちょっと診るからね」