あの日失くした星空に、君を映して。



取っ手が外れそうなくらいにタンスを引っ張る姿を見て、つい笑ってしまった。


お風呂の様子を覗くと、より濃くなった煙の奥に浴槽が見える。


だいぶたまってるけれど、もうちょっとかな。


部屋に戻るとようやく服を取り出した深影がベッドに腰掛けていた。


「深影、お風呂先に入って」


「いや、鏡華が先に入れ」


「やだ、深影の方が濡れてるじゃん」


「ワガママ言うな」


ワガママ言ってるのは深影の方でしょ。


濡れてる人のが早く温まらないでどうするの。


よく見ると肩だけじゃなくて左側の髪まで湿っているし。