君だから〜たった一人の君〜


でも…ウチは、素直やないから。


楽しかった、って…言えん。


自然に進んでいく足は出入口へと向かう。


「亜倖ー!亮ー!」


「…ッ!」


門のそばに亜鶴弥と大輝が立って待っている。


行かなきゃ…でも、


「…、亜倖?」


急に立ち止まった亜倖を見る。


言え…言え…!!


「ぁ、えと…その…っ」


楽しかったってそれだけの言葉が出てこない。


「…っ」


言葉にならない気持ちを、繋いでいた手を握ることで伝えた。