君だから〜たった一人の君〜


3年間来た制服で、鏡に立つのは今日で最後。


左手の薬指に輝くシルバーリングを確認して、階段を下っていく。


「高校生最後の日なんやからもっと早く起きぃよ!!」


「あーもう行ってきます!!」


文句を背中で聞いて、待っている亮の元に行く。


「ごめん!!」


「はよ後ろ乗り!」


「うんッ!!」


ギュッと亮の腰に抱きついて、自転車が走り出す。


「亮、桜綺麗やな!」


「見てる暇ないわアホッ!」


「すんませーん…」